3.11を忘れない

昨日は東日本大震災から14年目の日でした。
2年生と3年生の1クラスで震災に関わる授業を実施しました。
「なべになった鐘」という本の読み聞かせをした後、震災当時のニュースや津波の被害の映像を少し視聴しました。

その中に震災発生から10日遅れで行われた階上中学校の卒業式の様子を子どもたちに紹介しました。
57人の卒業生の内、3人が震災で出席できず、生徒自身も心や体に傷を負った中で、卒業生代表の梶原裕太さんの答辞がニュースで紹介されていました。

答辞の全文です。

気仙沼市立階上中学校 2011.3.11卒業式 答辞 全文

今日は未曾有の大震災の傷も癒えないさなか,私たちのために卒業を挙行して頂き有難うございます。 ちょうど10日前の3月12日。春を思わせる暖かな日でした。私たちは,そのキラキラ光る日差しの中を希望に胸を膨らませ,通いなれたこの学舎を57名揃って巣立つはずでした。前日の十一日一足早く渡された。思い出の詰まったアルバムを開き,十数時間後の卒業式に思い出をはせた友もいたことでしょう。「東日本大震災」と名付けられる天変地異が起こるとも知らず… 階上(はしかみ)中学といえば「防災教育」といわれ内外から高く評価され,十分な訓練もしていた私たちでした。しかし自然の猛威の前には,人間の力はあまりにも無力で,私たちから大切な物を容赦なく奪っていきました。天が与えた試練というには,むご過ぎるものでした。辛くて悔しくてたまりません。時計の針は十四時四十六分を指したままです。でも時は確実に流れています。生かされた者として顔を上げ常に思いやりの心を持ち強く正しくたくましく生きて行かなければなりません。 命の重さを知るには大き過ぎる代償でした。しかし,苦境にあっても「天を恨まず」運命に耐え,助け合って生きていくことが,これからの私たちの使命です。 私たちは今,それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。どこにいても何をしていようとも,この地で仲間と共有した時を忘れず宝物として生きていきます。 後輩の皆さん階上(はしかみ)中学校で過ごす「あたりまえ」に思える日々や友達が,如何に貴重なものかを考え,いとおしんで過ごしてください。 先生方,親身のご指導有難うございました。先生方が如何に私たちを思って下さっていたか,今になって良く分かります。 地域の皆さん,これまで様々なご支援を頂き有難うございました。これからも宜しくお願いいたします。 お父さん,お母さん,家族の皆さん,これから私たちが歩んでいく姿を見守っていてください。必ず良き社会人になります。 私はこの階上中学校の生徒でいられたことを誇りに思います。

最後に,本当に,本当に有難うございました。

涙をこらえながら答辞を述べる姿に、子どもたちは無言で聞き入っていました。
自然の猛威はいつ起こるか、どんな被害になるか予想ができませんが、過去に起こった震災から学び、非常事態の時にも生き残る行動を考え実行することこそ、犠牲になった方々の命を無駄にしないことにつながるのではないかと思います。

子どもたちにも「命は一人に1つしかないから、絶対に生き残るんだって思ってほしい」と伝えました。
あらためて犠牲になった方々へ哀悼の意を示したいと思います。
安らかに眠ってください。

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